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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2208号/05.2.28

僕の叔父さん 網野善彦

中沢新一 著  集英社新書(定価660円)

書籍画像 哲学者の中沢新一が、「おじさん」である網野善彦との50年にわたる交友――「おたがいの年がずいぶん離れているにもかかわらず、いつも対等な立場で、いろいろな問題を語り合った」――を中心に描いた追悼文が、この本だ。
 日本中世史を大きく変え、被差別民研究へいたる網野の歩みの必然性とそのダイナミックなさまが、伴走した中沢による温かいまなざしで書かれている。たとえば悪党について、「絵の端っこのほうにしか登場しないんだ。でもね、そういう人たちが、歴史を動かしてきたんだよ」と中沢は教わる。68年のエンタープライズ入港阻止=佐世保闘争の投石が、悪党たちが闘うときの「飛礫(ひれき)」と結合され「悪党という存在そのものが、……もっと根源的な、人間の原始に根ざしていきます」ととらえられ、『蒙古襲来』がうみだされたとの挿話(エピソード)も興味ひかれる。
 この書は、網野史学を読み説くための、再入門書としても大きな魅力をもつ。この本をもとに、もう一度、網野史学の世界に入ってみよう。(A)

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