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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2227号/05.07.18

差別の民俗学
その起原と深層構造

赤松 啓介 著  ちくま学芸文庫(定価1000円)

書籍画像 圧巻は村落の差別構造。一般村落のなかにある地主、豪農、組頭、百姓総代、平人、下人というヒエラルキーを役職型という。つぎに多いのが歴史的な発生による家格、職業による差別。疾病、体質的、信仰的な差別も存在する。信仰的差別とは、俗信、禁忌、祈祷、芸能などによる差別。
 さらに、一般集落と被差別部落の中間に位置づけられる村に、祈祷型、祭祀型、芸能型、工作型、行商型の差別の特色をもつ形式があり、地方により被差別部落と理解されているところもある。
 こうした変差を赤松は、その地方の政治状況と経済的発展の様相に応じてのものと理解し、地殻変動で生じた断層的破砕帯、つまり中間型とされた部分の解明が重要と訴える。一般村内部での差別も、破砕地帯を通じて部落の内部の差別と連携しているし、一般の村と部落との差別とも連動しているからだ。部落差別解消は、破砕層の解明と復元を通じ、一般の村の内部の差別を解消する連動と連帯することだ、と解く。赤坂憲雄の解説がいい。   (A)

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