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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2258号/06.02.27

自立と協働、はたらきがいをもとめて
大阪市現業労働者の60年

鎌田 慧 著  七つ森書館(定価1800円)

書籍画像 小泉流構造改革のもとで公務員バッシングがつづいている。「しかし、それは庶民の感情のなかにある、公務員の身分安定にたいする羨望と自分の使用人意識とが奇妙にからまっているこころの暗部につけ込んだ、卑劣なやり方である」と鎌田慧は指摘する。
 大阪市の現業労働者の60年間の組合活動を歴史と現在を往還し、自律と協働、はたらきがいという視点から描いたのがこの本だ。例によって、鎌田はしつこいくらいの聞き取りと、書物をひもとくことで、さまざまな事実を明らかにしていく。たとえば、労働者自身の発想から、ここへ連絡すると何でも対応できる環境事業センターを創設したこと。職業差別の解消と生きがいをもつ仕事ということで、みずからの労働強化につながっても、現業管理体制をつくり、ふれあい運動を展開していること、「ひとにやさしい住みよいまちづくり」が役所で働く労働者の目標であるなど。
 「行政改革」へのたしかな批判の視点と、地域が動き出すための力が、この本にはある。(A)

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