痛憤の現場を歩く
鎌田 慧 著 金曜日(定価2000円)
『痛憤の現場を歩く』は『週刊金曜日』に2年間連載していた同名のシリーズをまとめたもの。
「このような社会を子どもたちにつないでしまった。子どもたちになにを語るべきか」を、探しあぐねている途上でみつけた1冊。千葉・16歳少女殺害事件、1600人がリストラされる三菱自動車岡崎工場、桶川ストーカー殺害事件など、人間が踏みにじられた現場から、日本を問う1冊。
都教委の再雇用拒否事件の章は、石原都知事のもと教育現場が管理強化される道筋のなか、良心的な教員が個人の資質を歪曲され、嘱託採用を拒否。官営回復を裁判で争う闘いを記す。
本に登場する人びとは「(権力の)横暴にたいして抵抗している人たちであり、その痛憤である」と鎌田さん。その痛憤をたどり文章にした筆者のエネルギーを尊敬する。
「裁判は、日本の未来から裁かれるべきものである」。さきの都教委事件の結びであり、私が刻んだ言葉だ。現実を鋭敏に見つめながらも、あるべき未来について雄弁でありたい。 (汝)
「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)