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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2267号/06.05.01

いま平和とは
―人権と人道をめぐる9話―

最上 敏樹 著  岩波新書(定価740円)

書籍画像 「人権を踏みにじる迫害がある、だから戦争をしなければならない、という議論…(中略)…妙なものがあります。「迫害からの救済」と「迫害の阻止」を飛び越えて、いきなり「懲罰」に入ってしまう点です。それも、それをやりたい国、やる能力のある国がやればよい、ということになりがちです」(第5話から)
 イラク攻撃3年目を迎えた。自衛隊を撤退させず、自衛軍への改悪をねらう小泉政権。国権主義の風潮に、書店も「国家」強調の本の山だ。書名は地味だが、本書の9つの話は、いまを解き、読者を歴史構築に誘う内容だ。
 第4話では、「平和を欲すれば戦争に備えよ」という格言、「平和=軍備による安全保障」の危険性を語る。平和は国防に限定できず、人権問題だという平和観、「人間開発重視」の安全保障への転換史を説く。軍備は他国も自国も抑制できる保障はない。日本も「平和のため」と、自他国の人間から平和を奪った。差別や貧困など構造的暴力に目を向ける「人間の安全保障」こそ平和への道ではないか。(K・S)

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