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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2277号/06.07.17

「分ける」こと
「わかる」こと

坂本 賢三 著  講談社学術文庫(定価800円)

書籍画像 分けるということは、分かるということ。つまり、分ける=分類の分は階級とか序列を意味する。類は、もともとはタヌキを意味していた。なかまや似たものを意味する。そして当初の分類の基準は、利害によるウチとソトを分けることだった。「何が正義であるかは、ウチとソトをどこで区別しているかによってきまってくる」のだ。
 そして人間が物事をとらえようとするときに分析の手がかりにする枠組みがカテゴリーだ。西洋のさまざまな哲学者、東洋のさまざまな考え方、仏教や色道、連歌までもちだし、坂本は博学、博識をひろうする。
 ヘーゲルにいたると客観的なカテゴリーが自己発展する姿をとってあらわれる。それにたいして日本の文化も政治も、分類だけでなく、階梯として、上位のものに畳みこんでいく弁証法的な考え方を特徴としている、と坂本は主張する。
 分類学のこの本、じつは異なるカテゴリーをもつ人びと、集団がどう理解しあえるかを書いたもの。坂本の博学の根底には人間があるのだ。(A)

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