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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2284号/06.09.04

憲法は、政府に対する命令である。

ダグラス・ラミス 著  平凡社(定価1365円)

書籍画像 本書を、「憲法概論・人権理解」の入門書として読んだ。私の記憶によれば、近現代の歴史などまともに学ぶ機会はなかった。その後も条文など、知ってはいても深く学ぶ必要は感じなかったから、歴史的・政治的、社会的背景もふくめて興味深く読んだ。とくに書名でもある「憲法は、政府にたいする命令である」という「主権在民」の意味を確認する意味は大きい。
 そうした制定過程をふまえ、あらためて部落解放連動をみると、「憲法」を具体化する最前線で奮闘してきたといえるだろう。しかし、部落解放運動は、ながい行政闘争の経験をもちながらも「人権理解」は非常に情緒的であることに気づく。
 その客観的条件が変化しながらも相変わらず主観的な人権理解のままにあり、運動は、「人権理解」を普遍化(生活化)させることに失敗したのではないかという思いは強い。
 憲法に織り込まれている理念や概念には、長い人間の闘いの英知が込められている。「守る」戦いから、「活かす」闘いの真価が試されていくのはこれからだ。 (安)

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