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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2285号/06.09.11

日中関係
戦後から新時代へ

毛利 和子 著  岩波新書(定価740円)

書籍画像 戦後補償やナショナリズム、歴史認識など「価値」のレベル。台湾問題、日米同盟や国連安保理常任理事国など「パワー」のレベル。領土・領海問題や経済摩擦など「利益」のレベル。「2005年から日中関係は、以上の三つのレベルでのイシュー(争点-引用語)をすべて含み、かつ三つが相互にからんだ新段階に入った」と著者は語る。半世紀をこえて日中関係をたどり、「戦後最悪」の現在の関係を「重大な分岐点」と指摘する。
 著者が解く、近年明らかになった資料をもとにした日中などの指導者の動きの背景の解説は興味深い。しかし、日中関係の再構築に向けた本書の6つの提案は、暗にEUの東アジア版的なものを感じさせ、目新しくはない。また、提案中、妙な主観が感じられる部分もあり、残念だ。
 たとえば、靖国参拝を「見合わせる」などの記述。さらに、中国に向けた「戦後六〇年間の日本の営みを、「侵略した国」という眼鏡を通してでなく、客観的に見てほしい」という指摘などには首をかしげた。 (K・S)

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