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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2291号/06.10.23

異郷の人間味(ひとみ)
架橋する在日外国人

高 賛侑 著  東方出版(定価1800円)

書籍画像 カナダやオーストラリアで法制化されている、多民族・多文化共生の法にふれたとき飢餓感を感じた。その国の多民族、多文化性はその国の財産であり、多元的な知恵を国自体にとりこむことが、国の成熟を促進するという法。見晴るかせば単一民族観が跋扈する日本。04年末の外国人登録者数197万人。出身地別にみれば188か国。そういう意味では多文化・多民族社会はすでに存在している。
 『異郷の人間味』は世界5大陸28か国50人のインタビューをまとめたもの。全員が「在日」外国人だ。石黒マリーローズさん(レバノン)は聖書を原点に西洋文化の理解をと、著作をつづける。英語の語源は聖書ときりはなせないと着目した。マウンマウンさん(ビルマ)は難民認定を求めて、訴訟している(05年6月勝訴)。韓国で生活する友はとうに認定された。「帰国すれば、命も危ない」のに、日本は国際的責務をはたさない。
 多種多様な人びとの意味深い人生と日本とのかかわり。日本の横顔、可能性をみた思いだ。(汝)

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