憲法九条を世界遺産に

太田　光・中沢　新一　著　　集英社新書（定価660円）

　某雑誌連載中の爆笑問題・太田光のコラム。安倍首相の「美しい国・日本」というフレーズの魂胆に鋭く切り込んでいて、彼に興味をもった。
　本著は、太田光と中沢新一の共著。太田は、小泉前首相の「テロに屈しない」「不戦の誓い」などの言葉で、大人も若者も１つの思考に陥ってしまう傾向があるとし、表現者は言葉がもつ力と危うさを自覚しなければいけないする一方、社会全体として感受性や想像力が鈍くなってきていると語る。
　『R25　つきぬけた男たち』（日経ビジネス文庫）を読むと、太田もいた。昔作ったネタで、「視聴者は表面的に見えてる残酷な部分を隠すと、実はもっと悪いこと、世の中に対して悪影響を与えることを言っても受け入れちゃう」ことがわかった、と彼のスタンスは若い頃から同じだった。
　本署で、２人は、日本国憲法は米と日の合作の傑作であり、政治と芸術的な思想の結合だという話にたどりつく。このシステムを再活用するためにも「憲法九条を世界遺産に」と語る。話題の一冊。　　　　（謙）