少年事件に取り組む
―家裁調査官の現場から―
藤原正範 著 岩波新書(定価700円)

少年による凶悪犯罪が発覚するたびに、少年法が「加害少年ばかりを守っている」といわれる。しかし本当にそうなのか。本書は、著者が家裁調査官だった経験をもとに、少年事件の背景や、どのような処遇を選んだのかを紹介している。
少年法は2000年に厳罰化されたが、事件のたびに懐疑の声があがる構造は、改正前と少しも変わらない。厳罰化して変わらないものを、なぜまた厳罰化するのか。少年事件の派手な報道に、私たちは惑わされているのではないか。
いま大人がすべきことは、安易な厳罰化ではない。子どもと社会の未来を考えるために、少年福祉の充実に向けた議論をすることである。それは国会の場だけでされるべきでない。主権者である私たちが、少年をどう受け入れるのか。その議論こそ必要なことなのだ。
たんなる厳罰化がどんな社会を招くのか。少年法はだれのためのものなのか。少年法への誤解を解き、教育や児童福祉、社会のあるべき姿を考えるために、読んでいてもらいたい一冊。 (亀)

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