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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2299号/06.12.18

昭和史探索・1
1926-45

半藤 一利 著  ちくま文庫(定価760円)

書籍画像 半藤一利が語る『昭和史』(平凡社)は、いまや大ベストセラーだ。この本がおもしろいのは、戦争へいたる「昭和」の歴史を、一つひとつていねいに時代にそって語っていくからだ。「歴史はいきなり大きな事件が起きるのではなく小さな事象の積み重ねが、あるとき大きな事件を発生させる」ことが、いきいきと活写されているからだ。現在の、戦争ができる国づくりのためのさまざまな動きと重ね合わせて読んでいくと、いまという時代がみえてくる。
 ただ、この本には大きな不満があった。その第一は、この本の前提にある戦争責任にたいする天皇免責論だ。しかしこれは著者の基本スタンスだから仕方ない。その分を割引いて読めばいい。もう一つは、天皇と政治家、軍部の話だけが中心になっている点だ。さまざまな社会運動を視野に入れて論じるべきなのに。
 二つ目の不満を一定解消してくれるのが、この著者が編著者となった本、『昭和史探索』の史料集だ。第1巻には北原泰作の天皇直訴事件も収められている。 (A)

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