「口に出して言ったら嘘になる。また他人を批判するときの道具になるし、凶器になりやすい。だから、胸の中に秘めておくか、どうしても言う必要がある時は、小声でそっと言ったらいい」
▼「愛国心」をめぐる争奪戦がさかんだ。とりわけ「教育基本法」改悪案を契機に盛り上がっている。こんな状況をみながら書かれた『愛国者は信用できるか』(講談社現代新書の最後の結論部分がこれ
▼筆者は鈴木邦男・一水会顧問。一水会は新右翼の団体。鈴木は愛国運動を40年間やってきた、「君が代」は5000回以上歌った、靖国神社にも500回以上参拝、「教育勅語」も暗唱したという「愛国者コンテスト」があれば優勝できる、という新右翼の強者
▼この本でおもしろいのは、パレスチナや朝鮮民主主義人民共和国へいった新左翼が「日の丸」にあこがれる愛国者になり、右翼の方が一国平和主義はだめだ国際貢献をといいだしている、という指摘。たしかに、表面的には逆転現象が起きているようにみえる
▼もっともナショナルな原基を理解できたとき、インターナショナルなものがわかる、とある人がいっていた。たしかにそうだ
▼「愛国心」とは郷土愛から、国民国家が作られたとき、それへの帰属・献身意識から生まれたものだ、と鈴木も指摘する。たしかに鈴木のいうように、愛国心とは一体感なのだ
▼だがその本質は国家とともに共同幻想なのだ。
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