本紙の主筆であった師岡佑行さんが12日、沖縄県那覇市の自宅ベランダから転落するという、不慮の事故で亡くなった。77歳だった。師岡さんは日本史専攻。69年、当時勤務していた立命館大学を大学闘争を契機にやめた。「造反教官」の一人だった
▼その後、大阪市内の矢田部落へ。70年代の初め、本紙の主筆となった。京都部落史研究所の所長を務め、『京都の部落史』(全10巻)を編纂。資料などを公開し、部落史研究者を育てた
▼また『戦後部落解放運動論争史』(全5巻)は、綿密な筆致で敗戦後からの運動の軌跡を措いた。80年に第1巻を出し、85年に完結した。びっしりと文字の詰まったこの本を見ると、よくこれだけ調べて書いたな、と改めて感心する
▼本紙は、79年から月1回12ページ化をはかった。それは理論的な問題をあつかいたい、という問題意識からだった。最初の執筆者が師岡さんだった
▼掲載された「今日における部落差別の理論的状況」は大きな反響をよんだ。のちにほかの執筆者の論文と、座談会で構成したのが、本紙編の『部落解放理論の創造に向けて』だった。これは、多くの人に読まれた
▼師岡さんが提起したのは、部落の変化のなかに新たな課題を見つけることだった。その師岡さんが沖縄に移ったのは99年。体のことも移った理由だ
▼師岡さんが解放連動にかけた燃えるような情熱を受け継ぐことこそが、今日求められているのではないか。
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