写真集
「群衆のまち」
太田 順一 ブレーンセンター(定価2800円)
太田順一さんの写真集『化外の花』(03年・ブレーンセンター)を手にしたとき、この人はどこまで透きとおっていくのだろうと、謎解きを与えられたような想いを抱いた。人の閃光をきりとることができる写真家がなぜ「花」にたどりついたのかと。
写真集『群衆のまち』をひらいたとき、写真家の魂にふれるような気がした。
写真集は大阪24区のまちなみを写したもの。
人のいないまちは静かだ。洗濯物がひらひらと風に揺れていたり、築40年は経過しているだろう長屋の痛み具合が気になったり、モルタルで飾られた可愛らしい分譲住宅に色彩を感じたり、工場まえにつるされた作業着から油の匂いを嗅ぎとる。みるものの視線に耐えるように「景色」がつづく。写真はすべてモノクロ。
まちは雄弁だった。ものにはこれほどに人が宿っている。断片、断片に記憶された人びとの喜怒哀楽に目を凝らしていた。
カメラはまちを歩きとおして、人間を探した。 (汝)
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