自衛隊
変容のゆくえ
前田 哲男 著 岩波新書(定価740円)
今年の夏は、中越沖地震で東京電力の柏崎刈羽原発は停止したまま。関東にも40度以上の暑さが襲った。原発の必要性が意図的な世論操作だと多くの人が悟ったことだろう。
煽られた「恐怖」――電力不足は、他電力会社からの融通や火力発電、大工場の数時間の節電で回避できた。これらの措置と、兆単位の金を費やして桁外れの危険と数かずの嘘・隠蔽を生む原発とを比べても、まだ後者を選ぶのか、と。
脱原発は当然だ。
原発のほかにも、政治家の世論操作の産物は多い。とくに現在の安倍政権は、一部メディアとともに大だい的な世論操作を展開しており、そのひじょうに危険な産物の一つが、今年1月発足の防衛省・自衛隊だ。
憲法9条は「およそ戦争をするためのものは、いっさいもたない」(『新しい憲法のはなし』文部省)と誓ったはず。だが、米国の圧力のもと、政府は「純然たる治安組織」と嘘をつき、警察予備隊を創った。いらい「個別的自衛権・基盤的防衛力・専守防衛」へ「合憲」の嘘を重ね、防衛庁・自衛隊で軍拡してきた。そしてついに今年、安倍政権は、その「合憲論」も破る、米軍指揮下の軍隊へと防衛省・自衛隊を発足させた。
朝鮮の核、中国の軍拡の「恐怖」が煽られている。原発と同様、殺人政策ではなく、人間のつながりをつくり、歩むべきだ。嘘を嘘と見抜き、「平和基本法」「東アジア・共通の安全保障」で憲法9条を具体化させていこう。 (K・S)
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