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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2346号/07.11.26

家族と法
――個人化と多様化の中で

二宮周平 著  岩波新書(定価780円)

書籍画像 「家族再評価」の時代に懸念をもっている。親殺し、子殺し時代の反映だ。これらの事件には、「家族」幻想がある。家族といっても、別の人格の集合であることへの認識の希薄さは「支配」を生み「私物化」を正当化する。「伝統」への検証もなく、「家」を守る意識は存続し、法制度も国家意思を反映したものになっている。
  本書のテーマは、①家族の問題を解決するための法律知識の提供②それがなぜ、そのような制度や仕組みになっているのか③は、これまで想定されていなかった「問題」への提起だ。とくに③は、「常識」や「法」の壁の前に押しつぶされてきた人たちにたいする、国家の仕打ちはきわめて報復的であることがわかる。
  婚外子や同性カップル、GID(性同一障害)、戸籍のない子、代理出産で生まれた子、夫の死後に保存精子で生まれた子などへの権利は制限されてきた。それでも、法を越えて生きる人たちにたいして国は、「合理的差別」であり、報復的処置であることを否定していない。著者は憲法24条の原理と民法の法解釈が合致しているか疑問をロます。「法」から家族とは何か。そのあり方を捉え返すのもいいだろう。  (安)

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