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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2347号/07.12.03

日本は中国で
どう教えられているか

西村 克仁 著  平凡社新書(定価760円)

書籍画像  著者は、大阪にある中高一貫校の歴史教師。中国語を独習し、昨年10月から約半年間、北京で中国の歴史授業を聴講した体験をつづった。本書には、日本の教師から見た中国の歴史教育の特徴や、中国の生徒のアンケートや手紙などが収められている。この点、貴重な労作だ。しかし、残念ながら、著者の姿勢は日本社会の鏡になっている。このため、悪書化しており、憤りと危機感を大いに抱く。
  日本は「明治」以降、国家への服従を植え込む愛国主義教育の世界的先駆けだった。自覚の有無はともかく、その反省の戦後の成果の一面として、中国の同教育への著者の注意喚起はよくわかる。しかし、「恥ずかしながら私自身も歴史問題については確固たる自信をもって主張できる意見がない」と歴史の他人事化に甘んじた姿勢から、むしろ確信的に偏見を流布している。善悪ともに社会の鏡だ。
  たとえば、南京大虐殺を「日本国内での共通認識が今のところ存在しない以上、日本人が日本人に授業する場合には両論併記が最も妥当な授業方法」とする見解。世界的常識への逆行が平然と語られている。
  是是非非の態度で主体的に読むべき一冊。(K.S)

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