誰のための「教育再生」か

藤田　英典　編　　岩波新書（定価700円）

　07年が終わろうとしている。新しい年は本来、待ち遠しいものだが、08年はそうもいっていられない。今年６月に教育関連３法が改悪され、09年から教員免許更新制がはじまるためだ。
　 学校教育法の改悪は、教員の階層化をうみ、教員のうえには校長をはじめ６つの「上司」が監視・管理のためにおかれる。これでは教員は子どもたちでなく、上司と向かい合っていくことになる。
　 本書では６人の専門家がそれぞれ問題提起し、全国一斉学力テストなど、中止すべき５つの政策と見直すべき２つの法律、施策を提言している。
　 子どもたちに個性があるように、地域・学校がかかえる問題もさまざまだ。いじめや暴力の問題についての明確な特効薬はありえない。国がどんな方向を示そうと、子どもたち、保護者、教員など、当事者の意思やニースが反映されなければ成功しないのだ。
　 子どもたちは日びを生きている。来年こそ教育の市場化を食い止め、教育基本法を元に戻さなければならない。だれかにまかせるのではなく、地域から大きな風を起こしていこう。私たちには、ムラという地域力があるのだから。　（亀）