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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2315号/07.04.16
 ちょいと1回のつもりでデモり、いつのまにやら活動家、気がつきゃ全学連の中執委員、これじゃ革命なんきゃ出来るわきゃないよ、とは1961年発売の「スーダラ節」の替え歌。60年安保闘争の挫折を歌ったものだ。このスーダラ節、当時としては爆発的な60万枚を売った
▼これを歌った植木等さんが3月27日に亡くなった。等という名は、父親の徹誠(てつじょう)さんがつけた。人類皆平等という考え方からだ。徹誠さんは親鸞の悪人正機の思想に共鳴し、真宗大谷派の僧侶になった
▼1935年の三重県での朝熊(あさま)闘争を指導した。日中戦争での出征兵士には、「生きて帰ってこい、なるべく相手は殺すな」と語り、危険思想の持ち主だとして38年には治安維持法違反でつかまった
▼このとき獄中へ弁当を運んだのが等さんだった。のち、東京の大学で仏教を学ぶが、クラブ活動のギター演奏の世界に魅了され芸能界に。その時の文句が「坊主は死人を供養するが、おれは生きている人間を楽しませたい」だった
▼さすがの徹誠さんも、息子の芸能界入りを認めた。その後は、まじめに無責任男を演じる息子の姿を見続けた
▼高度経済成長のまっただなかで額に汗して働く人には、無責任男がアンチヒーローだった。だからこそ爆発的支持を得たのだ。いまや無責任体制があちこちで当たり前。等さんが活躍する場所はなくなったのかもしれない。合掌。

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