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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2319号/07.05.21
 格差論が流行している。書店に行くだけで、こんなにというほど書籍が並ぶ。格差論がブームで終わるのかどうかも問題だが、焦点は格差論をどう深め、抜本的な対処法を打ち出していくかだ
▼最近指摘されているのが、格差が固定化されてきているということだ。しかし、問題は格差と貧困を区別しない論議が少なからずあること、と指摘するのが『現代の貧困――ワーキングプア/ホームレス/生活保護』(ちくま新書を書いた岩田正美だ
▼格差とは基本的にはそこに「ある」ことだが、貧困は「あってはならないこと」として社会が価値判断することで「発見」されるもので、解決を社会に迫っていくものと説く
▼アフリカの飢餓に象徴される「本当の貧困」や戦前の貧困との直接比較などが乱暴におこなわれているのが現状だ、と批判する。貧困が増えたかどうかでなく、どのような人びとに貧困が集中し、それは一時的なものなのか、固定化したものかにもっと関心をもつべきだと問題を示す
▼貧困のかたちや具体例が豊富なデータをもとに本書で描かれる。豊かな社会のなかで貧困はほぼなくなったという見方そのものが転倒される
▼憲法25条の規定は、国会での論議のなかから生まれたものだ。それを本当に活かせるのかどうか
▼貧困の「再発見」は私たちの社会がどうあるべきか、部落解放運動がどうあるべきかを考えることにもつながっているのである。

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