バブル華やかなりし1980年に大友克洋による『気分はもう戦争』という漫画がはやった。じつにリアルと荒唐無稽が混じった漫画だった
▼それから27年、戦争待望論を展開する31歳フリーターの赤木論文が話題になっている。みずからを最初から何も得ることができないポストバブル世代と規定し、不況により仕事も得られないという社会の歪みを一身に受ける世代ともいう
▼しかし、そうした不満が為政者ではなく、職を得ている労働者に向かう。「反戦平和というスローガンこそが、我々を一生貧困の中に押しとどめる「持つ者」の倣慢である」と
▼ではどうするのか。平和なままでは貧困から抜け出せない。だから流動性を作り出す戦争こそチャンスであり、希望の光と彼は叫び出す
▼この叫びは社会への敵意である。青年時代のある時期、こうした感情を持つことはわかる。しかし、社会というものとつながると、こうした感情は薄れてくる。自分自身の居場所が確保され、何をどうすべきかという途が見えてくるからだ
▼問題はこうした新たな貧困層が格差という名のもとに社会から排除されていることだ。そこから暴力や戦争やナショナリズム、そしてイジメや人種主義にみずからのアイデンティティが形成されることだ
▼こうした層こそ、これまで、部落解放運動が包み込んできたものだ。運動の再生のなかで、新たな貧困層をどうするのかも問われる。
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