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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2332号/07.08.20
 作家の小田実さんが亡くなった。参議院選挙開票中の7月30日だった。歴史的な自民党大敗を知らずに亡くなったが、小田さんのプロフィールを読むと、こんなか所がある
▼戦時中の中学校の入学は大阪が空襲を受けたので、試験問題がすべて燃え上がったために、出願者全員が入学した。「以来、私はすべての秩序はいつかは崩壊するという度しがたい信念の持ち主になった」と。この言でいくと、今回の事態も想定済みだったのか
▼小田さんの原体験が、8月14日午後まで続いた大阪への米軍による空襲だったことは有名。同日、日本が降伏したことを書いたビラを拾う。信じがたかったが、20時間後降伏を知る。いったい何のための降伏直前の空爆だったのか。戦略爆撃の思想への抵抗が育まれる
▼小田さんの演説をはじめて聴いたのは、1968年、べ平連の集会だった。巨体からやや甲高い声が発せられる。ベトナム戦争をやめさせるためには、日本にある米軍基地のトイレをすべて封鎖すればいい、などと冗談を交えながら話したことを覚えている
▼その時の小田さんの話の核心は、ベトナム戦争に反対するのは、アメリカ軍の行為にたいするヒューマニズムだけからのものでなく、現実に日本がアメリカに加担し、侵略と抑圧に手を貸しているからだ、というところにあった
▼その核心は、多くの人びと同様、私自身の新たな飛躍につながった。合掌。

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