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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2343号/07.11.05
 日曜の朝、新聞をひろげると目にとびこんできたのが、カラー刷りの全面広告。女性がニッコリとほほえんでいる。「ひとりひとりにひとつひとつ。裁判員制度」と大書されている
▼「もっともっと知ってください。裁判員制度のこと」とも書かれている。はたしてこの広告の中身は、「ひとりひとりの素朴な疑問を大切にすることが、正しい裁判を作り出す」と書かれてあるにもかかわらず、疑問だらけになってしまうものだ
▼たとえば「多くの場合、裁判員の仕事は3日以内で終わる」とある、たった、わずか3日間で一人の人間の有罪か無罪かという運命を決めることをできるのだろうか。しかも量刑まで決めるというのだ
▼こういううたい文句もある。「証人や被告人の話をきいて判断する。大量の書類を読むことはないし、法律知識も不要」。話をきくだけで本当に判断できるのか。まして被害者や遺族が裁判に参加して話をするわけだ。感情がそちらに向くのはまちがいない。被告人もしゃべるとなると黙秘権を使うと、ふてぶてしいやつだ、と反感をもたれかねない
▼3日で終了、書類を読むことも必要ない、法律知識も不要となると、事前に時間をかけて調べ、大量の書類を読むのは裁判官ということになる
▼なんのことはない、裁判官主導の舞台なのだ
▼しかも一審だけへの裁判員制度。このまま、多くの疑問をもったままのスタートは、ちょっと納得がいかない。

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