マルクスの、あごひげを蓄えた大きな写真が目に飛び込んできた。ここはCDショップ。バーゲン品として並べられたCDの上にポップアップ広告のマルクスがいた。その吹き出し、「世の中には２種類の人間しかいない。掘り出し物を探し当てる者と、探し当てられない者だ」とある
▼ご存知、マルクスとは世の中はブルジョアとプロレタリアの２大階級で成立している、と説いた。晩年の『資本論』が有名だが、そのきもは、「労働力の商品化」にある。ほんらい、個性ある人間がもつ、自然と関係を結び、さまざまなものを作り出し、創造する労働力が商品にされてしまう、というわけだ
▼現在、非正規労働者は男性では全体の16.6％、女性では51.7％を占めている。とくに男性の15歳から24歳では45.6％と圧倒的だ。いつでも雇用を打ち切り、労賃も安い、資本にとって好都合なのが、この非正規労働者なのだ
▼ここでは、労働力の商品化が、露骨にあらわれる。いやなら辞めていただいて結構、代わりはいくらでもあります、というわけだ
▼労働契約法案が参議院にまわった。「就業規則」を企業と労働者の労働契約と見なすというもので、最初から対等な立場で作られないものを認めさせ、労働者と合意がなくても変更内容が合理的であれば不利な変更も出来る
▼労働組合運動すら否定するこの法案、もう一度、大いに論議し、白紙にもどす必要ありだ。