文章のみがき方
辰濃 和男 著 岩波新書(定価780円)
だれもが白紙の原稿に向き合うとき、あれこれと言葉を探しては、心に落ちる「一言」を探すのに悩んだことがあるだろう。
作家たちもそれぞれに言葉と一人闘う。
鶴見俊輔の文章修行は「これはうまい文だ」というものをノートに書き抜くこと。冊数は100をこえるという。
「自分の思ったこと、感じたことをすなおに書くのが一番いい。文章の練習はこれが一番いい」というのは夏目漱石。
永井荷風や池波正太郎はひたすら歩いたという。路地を歩き、人びとの日常のやりとりを傍観し、町並みの日ごとの変化を感じる。私も歩きながら文章を頭の中で5割がたは書いている。「無用の感慨に出会う」ことが自分の心を発見させてくれる。
江國香織は徹底した現場主義らしい。自分で歩いて自分でみて、自分でさわったものを書いていきたいという。小説の中で彼女が描き出すニューヨークや東京の郊外など、色彩が見えるような文章に出会うことがある。町の感触を言葉でなぞったからだろう。
心打たれる文章が何編も紹介されている。どれもさらりと響く。 (汝)
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