金融権力
グローバル経済とリスク・ビジネス
本山 美彦 著 岩波新書(定価780円)
サブプライムローン問題が示したものは何か。それはいまの金融資本がとりあつかう商品=債権の証券化のあやうさだ。サブプライムローンとは、低所得者用の住宅ローンだ。ローンをあっせんする人間は、紹介すればするほど金がころがりこむ。だから十分な審査などせず、どんどん金を貸す。貸す方の会社も、この債権を証券化して売ればどんどん売れる。だからどんどん貸す。だが、ある日、突然、このローンはあぶない、と評判がたつ。この債権を買った銀行やヘッジファンドの会社は、パニックにおちいる。一体全体、自分の所はどれほどの損益をこうむるかすらつかめないからだ。一枚の証券には多くの債権が切り刻まれてミックスされているからだ。
本書は、こうしたサブプライムローン問題を最初に提起し、危ない証券にもAランクをつける格付会社のもつ役割にも厳しい目を向ける。こうして見事に、いま、ここにある金融権力の構造を、じつにわかりやすく私たちに示してくれる。それだけにとどまらず、本来の、生産のための、地域のための金融のあり方、オルタナティブも力強く私たちによぴかけている。 (A)
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