まんが
半資本主義入門

エセキエル・アダモフスキ　文　イラストレータ連合　絵　伊香　祝子　訳　　明石書店（定価1800円）

　資本主義はいま、新自由主義政策によるグローバル化を推進し、労働者や民衆に飢えと貧困・無権利を押つけ、生存権すら奪いつくし全世界を途方もない悲劇に落とし込めている。
　 本書は、「まんが」のタイトルがついているが決して漫画ではない。今日の新自由主義グローバリゼーションもそうであるが、戦争、貧困と抑圧、地球環境や公共空間の破壊、社会福祉の崩壊などを生み出す、その元凶である資本主義の歴史と論理、問題点を明らかにし、一方、その資本主義と闘ったマルクスやレーニン、毛沢東やゲバラらの闘いを歴史的に総括しながら、新しい「反資本主義」の思想や闘いを分かりやすく図解した書である。人として人らしく生きるために、いまこそグローバルな直接行動をと提唱する。
　 「資本主義は人間を階級別に分けて差別する抑圧体制であり、その抑圧から自由になろうとする意志の絶えざる葛藤が階級闘争である」と。根本的な貧困を生み出すのは、いまや労働の「対価」ですらない賃金のあり方にある。
　 本紙読者に、初心にたち返る意味からの一読と、北海道でのG8サミットに反対の声と行動を。（MT）