危険な食品・安全な食べ方
自らの手で食卓を守るために

天笠　啓祐　著　　緑風出版（定価1700円）

　世をあげて「健康食品」ブーム。食材、食品を選ぶとき、産地、原材料、添加物をしっかり確かめているし、サプリメントも摂っているので健康管理は万全、と考えているあなたに読んでほしい一冊。
　 「遺伝子組み換え（GM）作物」をみても、もともとは「農薬の使用料を減らす」ことがうたい文句であったのに、現実には３年間は減少しても、その後は逆に増えつづけ、農家の経営を圧迫、環境への影響が深刻化し、食品の安全性を脅かすとともに、周辺の健康被害も広がっている。
　 豆腐や納豆、味噌を買うときには「遺伝子組み換え大豆不使用」と表示してあるものにしているから大丈夫と思っていても、５％混入までは「不使用」表示が認められ、EUの0.9％以下とは大きなちがいがある。作付、流通段階での交雑や混入が避けられない現実の前には、日本の規制は大甘といわざるをえない。
　 GM作物の拡大はGM動物へと、さらには人間へのバイオテクノロジーの「活用」へとつきすすんでいる。この流れ、動きを科学者だけで議論させてはならないというのが筆者の立場。食の安全や環境は、反差別・人権と分かちがたいものであることを分かりやすく伝える。　（E）