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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2382号/08.08.11

戦争絶滅へ、人間復活へ
93歳・ジャーナリストの発言

むの たけじ 著 聞き手 黒岩比佐子  岩波書店(定価700円)

書籍画像 「われわれは間違ったことをしてきたんだから」と、アジア・太平洋戦争中の1945年8月14日、「玉音放送」が流れる前日、著者は侵略戦争に加担したジャーナリストの責任をとって朝日新聞社を辞めた。しかし、敗戦60年の2005年、当時の状況をいまの情報、視点でと琉球新聞が作った「沖縄戦新聞」を見て、「辞めるべきではなかった」と振り返る。
  今日、「戦争する国」へと変貌する「日本」を前に、「本当の戦争」を伝え、謝るべきだったと。そうしていれば「みんながもっと戦争のことを考え、敗戦から今日までの日本の新聞報道の態度も変わっていた」と反骨のジャーナリストむのたけじは敗戦のときの「けじめ」を悔いる。
  本書は、従軍記者としての戦争体験をふまえた反戦への熱い思いとジャーナリズム批判だが、93歳のいまもジャーナリスムを背負った著者自身の足跡でもある。
  「日本人は、天皇に命じられ国家に要求されて戦争に行っただけで、自分が加害者という意識がない。その意識が戦後の日本にさまざまな影響をあたえてきた」と著者はいう。
  8月15日にこだわり、戦争責任・戦後責任を問うとき、著者の「けじめ」が、頭のなかをよぎる。(MT)

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