世界を変える人たち
社会起業家たちの勇気とアイデアの力

デビッド・ボーンステイン　著　　ダイヤモンド社（定価1890円）

　社会起業家という聞き慣れない名に本書を手にした。アメリカなどの有名大学では「社会起業家精神」のコースもあるという。一人の出会いや関心が多くの人を巻き込んで事業として展開されていく過程は感動的ですらある。小さくされた人たちへの尽きない関心もいい。彼らは、「社会を変える勢力」として登場しており、「社会の重要な問題を解決に導くために新しいアイデアを抱き、不屈の精神でビジョンの実現をめざす人びと、頑として弱音をはかず、決して諦めずに、どこまでもアイデアを広げていく人」たちである。
　 また、政府任せでは、必ずしも効果的な解決が期待できないこともある。そこで社会問題に新しい角度から挑もうと社会起業家がうまれた。
　 本書には、世界各国の起業への奮闘と支援する組織のとりくみがつづられている。日本でも「病児保育」という身近な生活要求のなかから生まれた起業が紹介されている。
　 訳者は、本書について「特定の社会問題に関心のある人ばかりでなく、こうした生き様、生きるスタイルもあるということを求める人」も手にしてはしいという。「城内平和の人権」を突き抜けていくヒントがあるかも知れない。　　　（安）