クロカミ
国民死刑執行法
今井 恭平 著 現代人分社(定価1500円)
国民のなかから死刑執行員を無作為抽出し、「国民の義務」として執行させる「国民死刑執行法」が導入された日本。クロカミとよばれる「執行員候補者召喚状」を、自分が受け取ったとしたら――。本書は、えん罪事件や死刑制度を中心に活動するジャーナリストである著者の、初のフィクションだ。
現在の日本は、国家が人を殺す制度を堅持し、執行をつづけている。「国民」は大きな事件のたびに死刑判決を望む。波のように押し寄せる「世論」の影に、無実の袴田さんがいることは忘れられているように思う。これは、実際に刑を執行しているのが「見知らぬ他人」だからこそ成り立っているものではないだろうか。
本書の帯にドキュメンタリー作家でもある森達也さんがよせた、「殺されるのは、あなたにとって誰かだ。でも殺しているのは誰かではなく、あなたなのだ」という言葉。この言葉は、制度を許しつづける私たちの姿を、まっすぐ照射している。死刑制度について本気で考え、私たちはなにをするべきか。根幹を揺るがすことは時間がいるが、サインする者を変えることはできる。いまがまさに、それを実現するときだ。(亀)
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