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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2393号/08.11.03

非営利放送とは何か
市民が創るメディア

松浦 さと子/小山 帥人 編著  ミネルヴァ書房(定価2800円)

書籍画像

 「同じ地域に暮らしていても、年齢、社会階層、収入、職業、障害の有無などによって、分節化されたままの生活している」なかで、「住民にとっての共通の記憶を育むことで地域に共同性を回復し、参加を促し、協働を可能にすること、また合意形成のための住民の自由なコミュニケーションを構築すること」が地域放送、しかも非営利での目的だ。
  マスメディアとの関係、日本や世界の非営利放送の歴史と現状、運営のための手引きなどが収められている。強調されているのがマイノリティ、力を持たない人間は自己アピールを発信できる手段を持たない、という問題だ。
  たとえば阪神淡路大震災のさいに大阪の生野ではじまった「FMサラン」が、在日同胞向けに長田で「FMヨボセヨ」を開始し、それがベトナム語、スペイン語、タガログ語、英語、日本語で放送する「FMユーメン」と合同し「FMわぃわぃ」となったこと。あるいは北海道での「FMヒバウシ」でのアイヌ語放送などの現状も語られる。
  多くのテーマを含めたこの本は、対話ができるメディア、マイノリティのメディア、公共圏とは何かを考えるときの必読の書といえる。(A)



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