労働再規制
―反転の構図を読みとく―
五十嵐 仁 著 ちくま新書(定価740円)
「日雇い派遣はあまりにも問題が多い。厳しい形で考え直すべきだ」と6月13日、舛添厚労相が記者会見で発言。今臨時国会に労働者派遣法改正案を提出する。派遣労働をめぐり「規制緩和から強化へ」と政策転換の必要性を認めた。
規制緩和と民営化を主たる内容とする新自由主義政策は、構造改革とよばれたように「既得権益」の打破という点では新鮮さを持っていたかもしれないが、その規制緩和が格差の拡大や貧困の増大など、新たな問題やひずみを生み出したことは周知の事実だ。
著者は、「労働の規制緩和を推進した、その新自由主義的な政策は、いまや失速。政治は反転し、逆方向へすすみだした。構造改革による格差と貧困の増大が明らかになったからではない。そこには官僚の思惑や財界の駆け引きなど、既得権益の復活を意図する逆襲があった」と。そしてその転機になったのは、ワーキングプアの衝撃、非正規労働者によるユニオンの誕生など、06年のマスコミと労働運動の変化だったという。
折りしも、その新自由主義政策を世界に撒き散らした米国が、自身の金融危機・景気後退で、その政策の破綻があさらかになった。(MT)
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