酒やたばこ、お茶、コーヒーなどは噂好品とよばれる。栄養を取るためではなく、味わうことを目的にした飲食物だからだ。もちろん、人によって好みはさまざま。酒やたばこは成人でないと飲んだり、吸ったりできない
▼タスポというICカードが話題になっている。「未成年者の喫煙防止に成人を識別する」ことが目的だという。宮崎県などでは先行導入され、今年７月には全国で導入される。たばこ業界が、タスポ用に自販機を改造するための費用を渋る商店などに、政府から切り替えないと営業停止処分がでるように圧力をかけたからだ
▼商店に切り替えを強制させてまで作るタスポとは何か。カードには名前と会員番号と顔写真が組み込まれている。譲渡や貸与の禁止文句も入れてある。自販機と接触させると「成人識別」をしてたばこが買える。しかもキャッシュレスでも買える
▼しかし、子どもが親や他人のカードを借りることなどで自販機での購入は可能。そんなもの作らなくてもコンビニなどで深夜でもたばこは買える。顔写真もついているが、それで個別認識するわけでもない。このカード、一体何のため
▼狙いは自販機の深夜営業。キャッシュレス機能でクレジット会社が儲けるため。あるいは、国民管理の一貫。顔写真をつけ、酒などにも応用し、「身分証明書」にしていく方向も見える。噂好品にまで国家が介在する社会は、ろくな社会ではない。