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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2368号/08.05.05
 大声で怒られたことがある。それは、部落解放運動の方向性や路線をめぐる問題のときだ。運動への熱い情熱が伝わってきた。70年代末のことだ
▼部落解放・人権研究所の事務局長、所長、理事長などの要職を務めた、大阪市立大学名誉教授の村越末男さんが4月11日亡くなった。78歳だった
▼80年代のある日、偶然、天王寺駅でお会いした。2人とも天王寺が帰路への通過駅だった。にこっと微笑んだ村越さんは、駅の上にあったホテルのバーへ案内した。そこには特上のウイスキーがキープされていた。同郷のよしみもあってか、内外のさまざまなお話を聞かせていただいた
▼いらい、先生との酒席の機会もあちこちで増え、気安くお話ができる関係ができた。嬉しかった。ただ、お酒を飲んでいることはお連れ合いには秘密に、といつもいわれた
▼先生は要職のためさまざまな集会や会議であいさつをされる機会が多かった。ラディカルな民主主義者として常に話されるのが天皇制批判だった。天皇制こそ部落問題解決のつまずきの石であることを理解しておられた
▼闘病のため近くの公園を歩いておられる姿をよく見た。お互い散歩途中で短いあいさつを交わしあった
▼去年の文学賞の選考後の酒席で、ようやく先生の初期の大著である『差別の論理と解放の思想』を読みましたというと、「そうか」といってにこっと微笑まれた。そのときの笑顔が忘れられない。合掌。

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