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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2372号/08.06.02
 1994年から増えてきているのが生活保護世帯。構造改革による市場原理の導入、非正規雇用の拡大などが背景にある。現在、生活保護受給者は151万人
▼しかし申請しない人、申請しても行政による「水際作戦」などで追い返される人が多くいる。『日本の貧困研究』は、貧困層の実態は1000万人に達すると推計している。これは、すべて自己責任なのか。いや、そうではない、と強調する書がある。『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』。湯浅誠著の岩波新書だ
▼貧困になる5つの排除として湯浅があげるのが、教育課程・企業福祉・家族福祉・公的福祉・自分自身からの排除だ。最後の自分自身からの排除とは、自分の尊厳を守れず、自分を大切に思えない状態にまで追いつめられること
▼ある女性が生活保護を市役所に申請した6日後、窓口職員から半年間、長時間にわたるセクハラ電話が続いた。生活保護を切られたら大変とはぐらかす対応をしながら耐えた。しかし勇気をもって民事訴訟を起こし、昨年10月に110万円の損害賠償が認められた
▼弁護士費用などを除いた24万円が女性の手元に残った。しかし市は、それすら「収入」として生活保護費から差し引いていた。しかもこの職員に賠償金を市に支払わせているのだ
▼泣き寝入りせず、尊厳を守った賠償金の経緯を考えるとき、市の対応は人間を踏みにじる行為ではないのか。

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