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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2376号/08.06.30
 来年実施予定の裁判員制度を前に、その「検証実験」がおこなわれている。ある刑事事件では、公判は朝から夕方までの1回、判決は3週間後というベルトコンベア方式の裁判がおこなわれている
▼検察側の求刑もあらかじめ用意してきたものが読まれるだけ。公判中に明らかになったことを反映するような中身ではない。こんな拙速な裁判で本当に人を裁くことが可能なのか。裁判員制が導入されるとどうなるのか
▼すくなくとも犯罪にはさまざまな背景がある。市民社会の裂け目が見える。そこから同じ事件を起こさないためにも、学ぶことが大切なのだ。たとえば、今回の「秋葉原無差別殺傷事件」。少なくとも低賃金、無権利、長時間労働、不安定雇用のもとにあり、使い捨てにされる派遣労働者の実態が背景にあることは明白だ
▼雇用先の企業は「人材派遣業者に対しては、このような不祥事が二度とないように、人材の確保、管理、監督について要請していきたい」と派遣業者に事件の責任転嫁をしている
▼派遣業で働く労働者は、事件後の「派遣社員をまとめて危険視する動き」を危倶し、横行するイジメも「正社員自身、仕事がきつく、いらいらして派遣にあたる」こと、いきなりの解雇、むちゃくちゃなシフト、ピンハネの実態などを語っている
▼「どの働き手も安心して働ける働き方がほしい」という訴えに耳を傾け、実現することが必要ではないのか。

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