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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2379号/08.07.21
 布川事件の第2次再審で東京高裁(門野博・裁判長)も地裁の再審開始決定を支持した。1967年の事件発生いらい41年の闘いが必要だった。検察には、再審開始の取り消しを求める特別抗告はやめろ、といいたい。素直に捜査、裁判の誤りを認めろといいたい
▼扼殺か絞殺か、自白と客観的証拠との矛盾、一つも発見されない指紋、目撃証言をめぐる問題など、じつに狭山再審をめぐる諸課題とよく似た争点が存在する。素直に、市民的感覚で見た結果が再審開始なのだ
▼客観的事実を明らかにする鑑定には、専門家や学者の協力が必要となる。狭山で他の事件ではあまり見られない日本語能力をめぐる問題では国語学者の大野晋さんの協力を得た
▼大野さんは周辺からの圧力や非理解をものともせず、石川さんが書かされた上申書と真犯人による脅迫状との対比をおこない、当時の石川さんの日本語能力では脅迫状を書くことは不可能と鑑定した
▼79年の国語学会では、その最後に、上申書、脅迫状の写真を配り、帰りかける会員を前に、「ちょっとまってください」とよぴとめ、日本語能力の観点から両者が一致しないことを語った。その時のようすをまざまざと思い出す。勇気ある決起だった
▼『日本語練習帳』がベストセラーとなったときには狭山事件をめぐる新聞広告で全面的な協力をいただいた。骨のある人、学者だった。大野さんの死を心から悼みたい。合掌。

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