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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2393号/08.11.03

 1000人に1人の確率で18~24歳までの設定した日時に、小学校入学時の予防接種に混入させたカプセルが体内で爆発し死亡する
▼平和な社会に暮らす国民に、「死の恐怖」を植えつけることで「生命の価値」を再確認させるのが目的。げんに自殺、犯罪件数は減少し、国内総生産と出生率は延びてきた。これが「国家繁栄維持法」
▼映画「イキガミ」の描く世界がこれ。主人公は死亡24時間前に死亡予告証である「逝紙(イキガミ)」を配達するエリート青年。配達を受け死を目前に苦悩する青年と、法律のあり方に矛盾を感じるエリート青年を描いた秀作
▼映画の設定は荒唐無稽だが、そういいきれないのが、いまの日本社会の現状。たとえば「後期高齢者医療保険」では75歳以上の高齢者は、お金のある人は高度な治療を、ない人は医療をも放棄し自宅で死を、という中身になっている
▼あるいは、産婦人科医、小児科医の減少は、生まれてくる子どもに手厚い保護をおよぼさないことの表明であり、医師の誕生を抑制する政策は医療自体の切り捨てを意味する
▼これらを生みだす根っこには新自由主義がある。つまり、高齢者の増大、医療費の爆発的な支出増は国家を滅ぼすから抑制するために人命を奪う、という考え方だ。ある思想家はこうした統治を「生権力」とよぶ
▼こんな非人間的なことをくり返す政権に、もうそろそろ「イキガミ」を渡すときではないか。


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