この金融危機の時代、欧州で新ブームが起きているとA紙。ドイツではマルクスの『資本論』が売れている。版元はあわてて増刷。日本では『蟹工船』や石川啄木の短歌集が若者に売れても、マルクスの本はあまり売れない。まして『資本論』。ドイツの学生は難解な同書に金融危機ならぬ「読解危機」を訴えている
▼スペインでは燕尾服。借金が滞っている個人が250万人以上のなかで、取り立て業者がシルクハットに燕尾服で登場する。ポルトガルにもこの業者は業務拡大を計画中
▼フランスでは株や通貨の暴落を前に、金塊を購入し保管した方がいいと、金庫が売れ、同時に「手で触れて確かめられる資産」である金が売れている。国ごとに特徴があるものだ
▼このフランスの大統領がサルコジ。呪い人形や双六ゲームにされ悪評ふんぷんだが、なかなかしたたか。「顔が悪く背が低い」、まあまあの程度の男だが、俺たちが選んでやっているんだ、という意識を有権者にもたせる。裏では、フランスのなかに残る、大企業にとってじゃまな「規制」をどんどん緩和し、労組を弾圧し、野党を保守化させる
▼320項目の「自由化政策」を相手に考える暇を与えずに提案し、通してしまう。諸外国へ公然と大企業のオーナーを連れて行きエアバスや原発を売りまくる
▼ここまで露骨でなくても、どこかの国の政権政党も、またぞろ同じことをする気配がうかがえる。