子どもの貧困
――日本の不公平を考える
阿部 彩 著 岩波書店(定価780円)
日本に貧困が存在し、相対的貧困率は06年、OECD諸国中、米国についで第2位と指摘されている。総中流神話のなかで長らく無視されてきた貧困という現実が、小泉内閣いらい急進行してきた格差社会の拡大のなかで無視しきれないほど肥大化し、再浮上してきたというわけだ。
差別と貧困の悪循環の文脈で部落解放運動のなか、口をすっぱくして語りつがれてきた貧困の世代間連鎖の図式も、ようやくメディアにとりあげられるようになってきた。まさにその解決に焦点をあてた「特別措置法」が失効しているのは皮肉というほかないが、貧困という問題への認識の広がりは重要だ。
本書は、母子世帯の子、0~2歳の子、若い父親をもつ子、多子世帯の子の貧困率の高さに焦点をあてる。政府が子どもの貧困を防止する機能をまったく発揮できていないどころか、逆に貧困を悪化させていると解明し、まずとりくむべきは、この逆機能の解消だと指摘している。
最近の世論調査では、麻生内閣の不支持率は、森内閣いらい約8年ぶりに7割をこえた。解散・総選挙で、一刻も早く、「定額給付金」という愚策でなく、貧困解決に責任を果たす政権をかちとろう。 (K・S)
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