子どもが育つ条件
――家族心理から考える
柏木 恵子 著 岩波新書(定価740円)
地域の教育力を謳いながら、その主体にだれをおいてきただろう。
ネットいじめや、さかんにいわれる学力低下など、子どもの「育ち」をめぐってさまざまな異変がおきている。一方で、育児不安などによる虐待もあとを絶たず、そのたびに母親の資質に原因を求める報道が垂れ流されている。
これらの要因を、社会や家族関係の変化、発達心理学と家族心理学の視点から読み解き、家族のありようを提言するのが本書。書店に平積みの、「親は子をどう育てるべきか」が書かれているのではない。子どもの「育て方」が重視されるなか、子どもが本来もつ「育つ力」に着目し、子どもが育つためには大人自身が発達し、成長しつづけること、親が自分を生きていることが前提だと指摘する。また親とは、父も母も「なる」のではなく「する」ものだと。社会にたいしては、子育て支援から子育ち支援への変革をよぴかける。
なによりも、最近よく主張されるワーク・ライフ・バランスの「ワーク」に家事や育児が含まれるという指摘、白物家電の発展が「主婦を楽にする」のではなく、「父親や子どもの家事を可能にした」という指摘には、目から鱗が落ちた。 (亀)
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