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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2407号/09.02.16

ネイティブ・アメリカン
――先住民族社会の現在

鎌田 遵 著  岩波新書(定価780円)

書籍画像

 「砂漠が舞う過酷な自然環境のなかで、人を部族社会から排除することは、暴力的な行為でもある。彼ら(モハベ族のこと―引用者注)は後からやってきた部外者と話し合い、ちがいを尊重しながらこの地に生きてきた」。だからこそ、「先住民が尊重され、その権利が認められる社会を、ともに創っていくことが、先住民にとって、そしてすべての「ゲスト」(あとで入ってきた白人や現在の移民などのこと―引用者注)にとっての、これからの課題」なのだ。
  しかし「虐殺や侵略の時代からは、長い時間が流れたが、その後の暴力的な同化政策、環境の変化による疾病、人種差別、そして貧困が現在も先住民の身体と心を蝕みつづけている」のが現状だ。
  歴史とともに「「辺境」に追いやられてきた部族に残された経済発展の道のりとは、天然資源の採掘か、有害廃棄物の施設の誘致か、もしくはカジノ産業への参入に限られている」もとで、みずからのアイデンティティをはかり、経済的自立を得、どう生きていくのか、という先住民の模索を紹介したのがこの本。私たちの運動とも響きあうものがある。
  この本は、ネイティブ・アメリカンの声の貴重な記録でもある。(A)


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