ルポ 労働と戦争
――この国といまと未来
島本 慈子 著 岩波新書(定価740円)
憲法問題に直結する兵器使用を不問にしたまま、政府は3月14日、海賊対策と称して自衛隊をソマリア沖に派兵した。90年の湾岸戦争いらい、11回目の海外派兵である。憲法9条で軍隊を否定しながら「自衛隊」という軍隊をもち、専守防衛といいながら米国に追従し、米軍の戦争、殺りくに加担する日本。
著者は、「この現実のねじれは専守防衛というキーワードで正当化され、憲法9条が消えれば専守防衛のキーワードは消え、海外での兵器使用を可能にする」と論じる。そして、その専守防衛のもとでの労働がどのように戦争とかかわっているのか。それは9条改憲でどのように変わるのか。在日米軍基地の従業員、自衛官、兵器産業の社員・派遣労働者、港湾労働者、公務員、大学の研究員など、さまざまな仕事の現場から「戦争」を問い、9条改憲は「私たちの仕事、私たちの暮らしの問題だ」と解き明かす。
そこには、生きるために「戦争=人を殺す為の仕事」にたずさわる労働者の実態と苦悩が語られ、9条改憲の動きに、私たち自身がもっと敏感になることを切に訴えている。
「武力では平和はつくれない」。この言葉をいま一度胸に。(MT)
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