原発と地震
――柏崎刈羽「震度7」の警告
新潟日報社特別取材班 著 講談社(定価1500円)
世界最大級の柏崎刈羽原発は2007年7月16日、中越沖地震に襲われ、緊急停止した。その揺れは設計時の想定を大幅にこえるもので、原発震災がおこらなかったのは奇跡に近い。
地元紙の「新潟日報」特別取材班による取材と報道がまとめられたのが本書。この報道は2008年度の日本新聞協会賞を受賞した。
あとがきには、「最初の打ち合わせでは、次のことを確認し合った。「原発への賛否を問うものにはしない。これまでの知識を一度リセットし、ゼロから始める思いで取材に当たる。客観的なデータを可能な限り集め、事実を積み上げていく作業に徹する」」とあるように、大きな説得力をもって「安全神話」の内実をつきつける。
取材は地元新潟だけでなく、国や原子力産業全体にもわたっている。
そのなかで、これまで認めてこられなかった周辺海域の活断層の存在と、32年前の安全審査のベールもはぎ、はじめに建設ありきで場所も決められていたことも明らかにされた。
東京電力は運転再開を狙い、今年は大きな論議がひきおこされる。中越沖地震が発した警告は、柏崎刈羽原発にとどまらず、全国共通の課題。ぜひ一読を。 (E)
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