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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2418号/09.05.11

女児に対する差別と暴力

房野 桂・田中正子 編著  明石書店(定価2000円)

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 今号の特集では、女性の貧困についてとりあげた。そこからみえてきたことは、いまだに最終学歴や賃金、働き方の自己決定などで男女に違いがあることだ。根強いジェンダー意識のなかで、子どもたち、とくに女児はどのような教育、環境で育つべきか。それを提言するのが本書だ。
  国連婦人の地位委員会は2007年、「女児に対するあらゆる形態の差別と暴力の撤廃」について議論し、4つの決議と1つの合意結論を採択した。日本も委員国でありながら、女児に関する施策は不十分なままである。JAWW(日本女性監視機構)は、日本政府がこの会議でとるべき立場を提言するため、日本の女児の現況を調べ報告書を作成した。本書にはその内容と、会議での議論がおさめられている。
  内閣府は、女児に特化した行動計画を策定していない。「男女平等の原則に反する」という議論や、「いきすぎた」ジェンダー教育への批判からきている。根深い女性差別を解消するためにも、子どもの権利を確立するためにも、女児に重点を置いた政策が急務だ。女性がまず気づき、学び、みずからの歩んだ道を振り返りながら、連鎖を断ち切りたい。その一助となる1冊だ。(亀)


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