「教員免許更新制を問う」
今津 孝次郎 著 岩波ブックレット(定価480円)
2009年4月1日から教員免許更新制が施行された。「教職経験10年ごとに、30時間(以上)の更新講習を受講して試験に合格すれば、更新が認められる」というものだ。
市場原理に貫かれた競争・選別・排除の教育をめざす政府は、「教育改革」の名のもと教育関連法の改悪をおこなってきた。同制度導入は世論の教員批判に便乗し、強行された。
議論の過程で導入目的を「不適格教員の排除」から「全教員の資質能カを刷新(リニューアル)」へと転換した。が、いまだその目的は揺らいでおり、内容よりもまず導入ありきが狙いであったことは否めない。今後、内実をめぐり教育現場での混乱が予想される。
本書は、制度へのさまざまな疑念、問題点を解き明かしたうえで、真の「(資質能力向上の)刷新」のために何が必要かを検証している。
日本の教員の年間勤務時間はOECD各国のなかでもっとも長い。教育現場での負担増は、子どもたちに関わる時間や授業準備の時間への影響が懸念される。外国では、更新制度が廃止された例もある。
本来の教育改革の趣旨は、子どもたちの未来を保障することにある。見直し議論を浮上させるための参考資料にしてほしい。 (T)
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