いま、逆攻のとき
鎌田 慧 著 大月書店(定価1500円)
「犯罪者予備軍って、日本にはたくさん居る気がする」。秋葉原で17人を殺傷した若者は犯行前、掲載サイトにこんな書き込みもしていた。派遣労働者の契約打ち切り―住所不定・無職化に脅え、似た境遇の労働者を「犯罪者予備軍」と見ていた。やがて彼は、出勤するとロッカーに自分の作業着が見あたらなかったため、解雇されたと思い、激情にかられて犯行におよんだと伝えられる。
犯行自体、もっといえば派遣労働者を「犯罪者予備軍」とした認識も、彼の誤りだ。だが、年に3万2000人以上の自殺者を含め、現在の多くの悲劇の背景に、どんなにあがいても貧困から脱出できない労働構造がある。この現実は誰の誤りか。
もともと悪法である「労働者派遣法」が改悪につぐ改悪を重ねた今日だ。政府と財界による自己責任論の拡大―不平等の当然視にたいし、とくに「社長、それをやっては人間としておしまいだ」と「弁えさせる」労働運動の役割を著者は強調する。派遣労働者の労働組合とそのネットワークによる「反抗」ははじまり、まさに正念場、「「失業と戦争」。「共生と平和」。そのどっちの道を選択し、どんな行動をとるのか、それがいま突きつけられている課題」だと私たちの責務を説く。 (K・S)
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