官製貧困社会
布施 哲也 著 七つ森書館(価格1,575円)
女性、子ども、高齢者など、さまざまな層に貧困が拡大している。それは格差だらけの社会だということでもある。
公平・公正であるべき自治体が率先して非正規雇用を生み出していることを、現職市議の立場から鋭く告発したのが著者。本書は3部作の第2弾だ。今回は、東京と地方の自治体格差や、大企業や国による自治への介入と破壊について異体例をあげ、分析する。
地方自治体が翻弄されるのは国家官僚と政治家によるものだが、究極の責任は1人ひとりの市民にある、問題解決には、自治体に「ノー」といえる自立した市民層が必要だ、と著者はいう。1人ひとりの個人としてはいたとしても、層としてはいなかったのではないかと。部落問題以外の問題をみると、声を上げている人と私たちは、同じ目線であったばあいでも連携しきれていないのではと感じることもあり、ハッとした。
参議院でいくら母子加算復活や父子家庭への支援を決めても、それだけでは法にならない。親の経済状況が貧困を再生産させることのない社会はまだ遠い。人びとの声を政治に反映させるため、私たちが自分の考えで動きながらも個個のちからを合わせるとき、それはいまなのだ。(亀)
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